古寺巡礼 常楽寺の地図へのリンク

 【古寺巡礼その82 (常楽寺 岡山市)】

10月25日、岡山市草ヶ部の常楽寺を訪問する。
この寺は、奈良時代の天平勝宝年間に報恩大師によって開基された備前48か寺のひとつとされている。
盛時には寺中に20余の院坊があったと伝えられるが、江戸時代の文化年中に大半の堂宇を焼失し、その後再建されたものの明治16年に再び出火してほとんどを焼失したという。
この寺の見どころは文化年間の火災にも遭わなかった仁王門(写真1)(写真2)で、山麓に下界を見下ろすように堂々と建っている。
本堂(写真3)(写真4)は明治以降の建物だろうが、元々の部分は火灯窓も美しくなかなかの建築である。
残念なのは、この元々の本堂の前部に増築している点で、増築部分の出来がいまひとつである。
元々の本堂に付いていたと思しき向拝をわざわざ増築部分に付け替えているのも不格好だし、大体住居でもあるまいし、本堂を増築するという感覚がわからない。
私は寺院建築というものは日本建築の粋だと思っているので、文化財に指定されていなくても、新築、増築、改築するときには美的感覚を持ってほしい。

 

仁王門
写真1 

仁王門
写真2 

 

本堂
写真3 

本堂
写真4 


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