児島八十八か所巡礼 第47番 西方寺
倉敷市
次に西方寺。
寺伝によれば、天平時代にこの寺の密雲上人の夢に毘沙門天が現れ、讃岐の国の白峰の麓の海の中に居るのでお前の寺で祀って欲しいと告げたという。
そこで上人が海岸で一心にお経を上げていると、海の彼方から光り輝くものが段々と近づいてきた、それが本尊の毘沙門天像であると。
寺の開基については不明であるが、弘法大師の作と伝えられるこの像は一木造りで、平安後期の作と推定されている。
海の中から仏像が現れる話は一つ前の藤戸寺でも書いたが、児島霊場ではよくある言い伝えである。
この話も天平時代に弘法大師作の像が現れるなど矛盾もあるが、伝説とはそういうものだろう。
薬医門の山門(写真1)を入ると、大きなモミノキがある。(写真2)
倉敷市の認定巨樹で樹齢は約400年だそうだ。
モミノキはクリスマスツリーや「樅ノ木は残った」の仙台を連想して、北の方の樹木のイメージがあるが、調べてみると自生地は意外にも温暖地とのことである。
本堂はやや小ぶりな宝形造りの建物。(写真3)
石標らしいものはなく、山門横に新しい寺標があったが、山門下に立っている道標の方が相応しく思われるので、こちらを紹介しておこう。(写真4)
これには四十七番四丁と書かれていて、本来は寺とは4丁(約400メートル)ほど別のところにあったもののようだが、移転させて石標の代わりとしているのであろう。

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