児島八十八か所巡礼 第49番 宝寿院
倉敷市
次に宝寿院。
寺伝によれば開基は平安時代後期、前の一等寺と同じく新熊野山関係の寺で、江戸時代には一等寺の末寺となっていた。
寺が面している広い県道から直接車でアプローチはできないため、わかりにくいが少し離れたところから細い道を寺の裏手に回り込むように行くと、専用の駐車場がある。
こぢんまりとした寺で、山門は薬医門(写真1)、本堂(写真2)は江戸時代後期のものと思われる入母屋造りである。
山門横に立つ石標には年号は入っていないが願主として4人の名前が刻まれており、皆の名前の前に何々屋とあるのは姓ではなく屋号と思われるので、おそらく江戸時代のものであろう。(写真3)
後日、この寺が境内とは別の場所で管理する延命地蔵が鎌倉時代のもので、県の重要文化財に指定されていると知り、改めて見に行った。
こちらもわかりにくいが、県道を南に行くと左手に福林湖があるその右手の細い道を入ったところに、ひっそりと小さなお堂が建っている。
一見動物の檻のようで何とも味気なく、中に安置されているお地蔵様も居心地が悪いのではないかと思う。
高さは約150センチメートル、全体をひとつの石から掘り出した石造で、裏面には作られた年の建治2年(1276)3月24日の銘が刻まれているという。
年月の経過により表面が幾分風化しているようだが、そのため一層お顔が優しくなり親しみがあってありがたく感じる。(写真4)

前へ  一番上へ  目次へ  後へ