児島八十八か所巡礼 第64番 蓮台寺
倉敷市
11月3日、児島88か所の中でおそらくは最も有名な札所の蓮台寺を訪問する。
今は車道が整備されていてほとんどの人が車で訪問すると思うが、63番札所のある小島地からは歩く人もほとんどないような山道とのことで、少し変な気がする。
しかし、かつては四方八方から由加山に登る道があり、この参道はわりと一般的なルートであったようだ。
言い伝えによると、池田継政(江戸時代中期の岡山藩主)は由加山に参った際に小島地の集落で休憩したそうで、藩主が通るほどの道ということである。
この寺は、奈良時代に行基によって創建されたと言われている。
前に新熊野山について書いたが、由加山は新熊野三山の那智宮とされた。
古くから瑜伽大権現として庶民の信仰を集め、江戸時代末期から明治にかけては讃岐の金比羅大権現と併せて参ればより多くのご利益があるという両参りと呼ばれる慣習があった。
そのため参拝客も多く、門前町はたいへん栄えており、おそらくは児島88か所巡りのハイライトであっただろう。
ここは境内が広く、かつては神仏習合であった由加神社も同じ場所にあり、見どころも多い。
中でも江戸末期に建てられた重層の客殿(写真1)と多宝塔(写真2)はどちらも重厚で立派な建物であり、県の指定文化財となっている。
札所を示す石標(写真3)がどこにあるのかしばらく探して、ようやく大師堂(写真4)の前で見つけた。
この大師堂は、新しい総本殿や客殿の場所からは少し離れた、旧本堂や多宝塔と同じ場所にある。
石標も立派なものだが、目立たないところにひっそりと立っている。


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