児島八十八か所巡礼 第70番 永井大師堂
玉野市
この札所は大きく西へ引き返したところにあり、この日最初に訪問した。
元は八浜にあった蔵泉寺が70番札所であったが、現在は永井という集落にある大師堂が札所になっているため、順路が外れている。
なお、八浜の蔵泉寺跡にも山門や小さなお堂、札所の石標などもあるので、次に別途紹介しよう。
札所が移動した経緯は山陽新聞社「児島霊場を尋ねて」に詳しい。
これによると、この地区には札所の権利が譲渡された証しである「霊場改証」が残っているそうである。
改証は、児島霊場本願所の吉塔寺が明治19年に発行。
蔵泉寺が霊場の権利をいったん吉塔寺に返却し、あらためて永井大師堂を70番霊場に定める旨が記されているとのことである。
また、改証とともに残る「定約証」には寄付金20円と引き換えに蔵泉寺から永井へ大師像を譲るとの記載が見られ、蔵泉寺が札所の権利を売ったものと推測されている。
さて、札所は山を少し登ったところの狭い敷地にひっそりと建っている。(写真1)
お堂は改築されているが、札所が移ったときの建物らしい。(写真2)
境内からは永井の集落が見渡せる。(写真3)
石標は明治6年の年号と蔵泉禅寺という寺名が刻まれており、八浜の蔵泉寺から移設したものと思われる。(写真4)

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