児島八十八か所巡礼 第70−2番 蔵泉寺
玉野市
2月19日、札所を定めた時点では第70番札所であった八浜の蔵泉寺跡を訪れてみた。
「児島八十八ヶ所道案内」には蔵泉寺ではなく蔵泉庵と記されている。
現在は寺院でないところはほぼ庵と称しているが、札所を定めた当時は単なるお堂は大師堂や薬師堂と呼ばれていた。
庵と名が付くものは尼寺や廃寺となった寺などを示していたようで、数は少ない。
蔵泉庵の庵は何を意味しているのであろうか。
現在の跡地には寺の名残として山門が残っている。(写真1)
本堂などは無くなっており、本尊は郡の万年寺に移管されたようだ。
山門を入ったところに建てられた小さなお堂には弘法大師が祀ってあるらしい。(写真2)
敷地内はほぼ墓場となっているが、一角に法華経一字一石塔と刻まれた石塔があり、その上に石仏が祀られている。(写真3)
山門横の立派な石標には蔵泉禅寺の名称と、何と明治35年の年号が刻まれている。(写真4)
はてさて、永井大師堂のところで書いたように、札所は明治19年に移転したはずである。
八十八か所巡りが盛んになった明治の頃、札所でなかったお寺やお堂が廃寺になった所などから権利を譲り受けようとしたようだ。
明治35年の石標がここにあるということは、札所の移転は円満に行われたものではなく、まだ取り合いがあったということであろうか、謎である。

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