児島八十八か所巡礼 第85番 持福院
岡山市
持福院は宝積院からすぐ近くで、途中道も細いため宝積院に車を駐車したまま歩いて訪問する。
現在は無住となっているが、広々とした境内と江戸中期の建物と言われる本堂と客殿はきれいに管理されている。
それほど大きくない阿津の集落にこのように立派な寺が2つもあるのは少し不思議な感じがするけれど、この村は昭和のはじめまで児島湾内第一の漁港として栄えていた。
江戸時代から阿津・北浦・八浜の3村が樫木(かしき)網の漁業権を有しており、享保6年の調べでは、家数258軒、村民1264人で、船90艘を有していたそうであるから、なかなか大きな村である。
樫木網はかつて児島湾で行われていた定置網の名で、潮の干満時の急速な流れを利用して魚を捕ったもので、たいへん盛んであったそうだが、干拓事業が進んだことと、昭和29年の児島湾締切堤防の完成により消滅した。
山門は棟門で、両側のブロック塀がちょっと味気ない。(写真1)
本堂は入母屋造りの三間堂。(写真2)
客殿は本堂と渡り廊下で結ばれており、庫裏を併設している。(写真3)
石標は自然石に彫りこまれた立派なものである。(写真4)

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