吉備中央町方面
巨木探訪:加茂川町再び(その4)
夕暮れまでにはまだ時間がある。
予定ではこの後、豊岡方面に向かうはずであった。
66号線を少し戻って御北小学校の手前を左に曲がるはずだったのだが…道を見過ごしてしまった。
戻るのも億劫なのでそのまま進み、新しくできた広域農道に入った。
この農道、旧北房町から旧建部町を40分で結ぶラインだとか…。
(40分というのは兄が私に言っていた言葉である。相当のスピードで走っていると思われるので鵜呑みにしてはいけない。)
『←豊岡』の標識のあるところでとりあえず左折することにした。
正直、自分がどこを走っているのかわからない状況だったのだが。

出たところはどうやら湯乃瀬温泉というところのようである。
地図によると県道371号線に無事に出たらしい。
ここから少し西に戻ったところに「豊岡のキハダ」という樹があるらしいのだが…もう期待はしていなかった。
案の定、それらしい樹を示す物は何も無い。
この地にはもうひとつ「森の天狗松」があるらしいのだが、これも何処にあるのやら、さっぱりである。
ところが371号線を走っていると豊岡簡易郵便局の手前で「栗の木尾の一本桜」という案内板を見つけた。
はて、こんな樹があったのか?
これまた私の調査票には載っていないのだが…せっかくなので案内板に従って行ってみることにした。

恒例の如く細い道をどんどん斜面の上に向かって登る。
分かれ道の先々に案内板があるので、それに従って行くしかない。
それにしても此処はすごい。
道は舗装されているからそこそこ需要はあるのであろうが、この道はいったい何処に続いているのか…
そのうち峠らしき所に着いた。
案内板は右手を指している。
車を停めようと思ったが適当なスペースは無い。
かろうじて頂上の小屋の傍に停めた。
近隣には民家が3軒ほどあるだけである。
桜は何処?

歩いていてふと気付いた。
尾原の桜もそうであったが、今は葉桜である。
ここは樹型で見分けるしかなかろう。
そう思ったら畑の向こうにある樹に気がついた。
これは違うことなく桜である…。
近づいてみると斜面から生えた幹が見える。
苔むして齢を重ねたような幹である。
確信して写真を撮った。
                 流れ柿 
地図はこちらへ


帰ってから吉備中央町のHPを見てみたら、この桜が大々的に取り上げられていた。
この樹に間違いないことが確認できた。
天然記念物でも何でもないが、旧加茂川町では人々があまねく知るところの桜なのであろう。
しかし、花見のためここまで登って来るのは大変だろうと思うのだが…

もうひとつ。
これも帰ってから調べてわかったことなのだが、豊岡の「森の天狗松」という樹は既に枯死していた。
南無三…。

時間があればさらに円城寺に寄り、案田のネズを訪ねるつもりだった。
しかし車窓は既に夕闇である。
『加茂川町は不消化であった。もう一度来なくてはなるまい…』
対向車もあまり来ない道(下加茂から金川までたった3台!)を家路に着いた私であった。

本日の所要時間、6時間半。
走行距離、約180km。
家に帰った時の妻の言葉…… 『あんた、どこまで行っとったん!?』
はい、加茂川町です…。


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