宍粟市Complete(4)
巨木探訪:宍粟市Complete(4)
現実というものを目の当たりにしながら、国29をさらに北上。
次は昨年の宿題、「小野の大トチノキ」である。
昨年は近くまで行きながら夏草に行く手を阻まれ、探訪を諦めざるを得なかった。
この季節ならば大丈夫だろう、という期待を胸に秘めての再訪である。
気合を入れてトレッキングシューズまで持ってきた。

国29をさらに北上、波賀町に入る。
「火魂神社のムクノキ」の前を通過し、小野地区で県546に左折。
しばらく進むと『大トチノキ これより1.2km』と記された見覚えのある標柱がある。
実は今回の探訪に当たって再調査したところ、トチノキまで遊歩道が続いているという情報があった。
おそらくここが遊歩道の起点なのであろう。
遊歩道にするか、前回の林道から120m下る道を選ぶか・・・遊歩道1.2kmと言っても山道であれば30分くらいはかかるであろう。
林道の方は確か車を停めてから15分くらいだったはず。
時間を考慮して、結局林道コースを辿ることにした。
歩いて行くと周囲に草が繁茂している様子はない。
これなら行けそうだ、と内心ほくそ笑みながら『120m下る』標柱まで到達。
おやおや、前回は気づかなかったが『マムシ・ヤマカガシ・猪・熊 ご注意下さい』という注意書きが・・・これは穏やかじゃないぞ。

ま、大丈夫だろうと指示された斜面を下り始めた。
最初の10mくらいは細い獣道があったが、その先は落葉の積もった杉林。
道らしきものは見当たらない。
えっ!これ、どこを下るんだ?
とりあえずスギの間を適当に抜けながら下っていくと、木立の間に渓流が見えた。
むむ、この渓流を渡れということか?
しかし渓流に橋らしきものなど見えないし、その先も見えない。
これって本当にトチノキに続いてるの・・・疑問が湧いてくる。
しかし道らしきものは無くとも、この方向にトチノキはあるはずなのだ。
杉木立の斜面を少し登って別の方角に下りてみる。
こちらも当然のことながら、その先に見えるのは渓流。
しかし!
木立を透かしてよく見ると、渓流の向こうに何か銀色のものが・・・
凝視すると、間違いない、これは説明板だ!
俄然勇気が湧いてくる。

斜面を下りきると、目の前には二筋の渓流。
そしてその向こうには探し求めたトチノキが悠然と立っている。
橋がないので滑らないように注意しながら、石伝いに渓流を渡った。
深山の奥の開けた斜面に立っている苔むしたトチノキ、周囲の岩も苔むして緑色。
そしてこの一角だけが光を浴びて、神々しい庭のようである。
この素晴らしい庭を独り占め・・・なんて素敵なんだぁぁぁ!!

「小野の大トチノキ」
県天然記念物、樹齢不明、幹周6.7m・4.4m。
上方の樹は低い位置から2幹に分かれている。
根張りはどっしりとしており、太く力強い幹には数個の瘤が見られる。
下方の樹は一回り小さく、すっきりした印象。
どちらも苔や寄生植物に覆われながらも、いっぱいに枝を広げている。
これもある意味、夫婦トチノキ、と言ってもいいのではなかろうか。

 入口 案内板

 注意 周辺景色

 トチノキ トチノキ

 トチノキ        トチノキ

 トチノキ        トチノキ

地図はこちらへ

渓流の傍らには確かに道が続いている。
帰路は検証の意味で遊歩道を歩いてみたのだが・・・なんとトチノキから標柱までわずか13分。
下り坂であることを考慮しても、かなり簡単に辿り着ける道だったとは。
もしもトチノキを訪ねる方がおられたら、是非とも遊歩道の方をお薦めする。

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