宍粟市Complete(6)
巨木探訪:宍粟市Complete(6)
ここからは国29を引き返す。
『安積橋』の信号で県6に左折、4km足らず走って左手の深生橋を渡る。
1kmほど進むと左手の集落に分かれる道との分岐点に「池王神社のアカガシ」の標柱があった。
案内に従って小さな橋を渡って左折したところ、目の前で道が分かれている。
右手の道は上り坂、左手の道はやや下り坂、ここには標柱はない
さて、どっちだ!?

通常ならば、上り坂を選ぶべきであろう。
しかし地図上の道を見ると左手のように思える。
ま、何とかなるだろう、と左手の道に進んだ。
民家の間の細い道を抜けていると、一人のうら若き女性が道端にいた。
車を停めて、一応尋ねてみる。
「あの、この辺の方ですか?」
「いいえ、私は地元じゃないんで・・・」
本当なのか、変なおっさんに声をかけられたので用心したのか、そこは定かではない。
答えが得られぬまま、さらに道を奥の方へ進んで行った。
すると突当りに標柱が!
しめた、正解であった。
右折して進むとその先が池王神社で、道はここで行き止まりである。
(注:上述の右手上方への道は地図には記載されていないのであった。)

「池王神社のアカガシ」
境内に入って左手の方を見ると、奥の方にアカガシの姿が見える。
この神社はアカガシ林全体が県天然記念物に指定されているが、中でも群を抜いて大きな個体がこのアカガシである。

というか、立派すぎて他の樹には目が向かない。
市天然記念物、樹齢不明、幹周5.7m、アカガシとしてはなんと日本一の巨木!
どっしりとした根元、太くて野生にあふれた主幹、主幹の勢いそのままに伸び上がった支幹、偉容としか言いようがない。
さらにこの樹は、幹全体がワックスを塗ったように艶々しているのである。
磨き込まれた巨大な美術工芸品・・・こんな光沢を持った樹は見たことがない。
池王神社の名にふさわしく、まさに神社の王、いや森の王である。

                標柱


   アカガシ    アカガシ

   アカガシ    アカガシ
地図はこちらへ

アカガシを後に車に戻る。
時刻は4時半。
ここからは来た道を戻って国29に出て、少し先で県8に入って神崎郡神河町に抜け、帰途に着く予定であった。
もちろんこのルートの途中で3ヶ所ばかり寄り道をして、である。
しかし、ふと気が変わった。
池王神社から10kmほど走ると「千町のミズナラ」という巨木があるのだ。
ただ、あまりにも今回のルートから1ヶ所だけ外れた場所なので割愛するつもりだったのだが・・・時間的にも今から行けない距離ではない。
県8ルートはまた通ることもあるかもしれないが、ミズナラの方はこの樹1本だけを見るためにわざわざ来ることはもう無かろう。
そう思って県6を北に向かうことにした。

県6に出て約3km北上すると、揖保川の支流である草木川が右手にある。
ミズナラはこの草木川の上流にあるのだが、地図を見ると川沿いに道が続いているようである。
右手の道に入ってみたところ、この道がとんでもなく細い道であった。
とてもではないが対向車とすれ違うことはできない。
おまけに道路地図を確認すると、もしかすると途中から舗装されていない可能性もある。
これは、いかん。
思い直して、遠回りではあるがさらに北に向かうことにした。
県6を1kmほど走ると国429に突き当たる。
ここで右折して2kmほど進むと、右手に草木ダムを経て『こぶしの村キャンプ場』に向かう道があるので、こちらのルートへ。
山を一つ越えて草木地区の集落に下りるのだが、峠の頂上に繁盛地区の案内板があったので確認してみると、確かに「大ミズナラの木」と記されていた。
草木集落から東に向かうこと約2km、草木ダムの横を通り過ぎて右カーブに続く左カーブの頂点辺り、千町峠に向かう林道の分岐点にミズナラは立っていた。

「千町のミズナラ」
樹齢300年以上、幹周4.5m。
先ほどの夕立がこの辺も降ったのか、気温の低さと合わせて周囲は霧雨に包まれ、幽玄な雰囲気である。
ミズナラの下に立つと枝葉から水滴が落ちてきた。
驚くような巨木ではないが、苔に覆われたゴツゴツした幹が日本的情緒を感じさせる。
芽吹き始めたばかりの新緑も目に楽しく、まさにこの場所にあってこそ、の樹であろう。

           案内板

                ミズナラ

           ミズナラ

                ミズナラ
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これで予定は終了。
いい樹をいっぱい見た、という満足感を胸に帰途に着いた。

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