津山市加茂町
巨木探訪:〜加茂町(5)
来た道を県118に戻り1kmほど北上。
左手にある福本橋を渡って広域基幹林道に入る。
この林道は阿波村と加茂町を結ぶ林道で、6km余に亙って大ヶ山の中腹を等高線に沿うように走っており、最も高い箇所では標高800m、大ヶ山スカイ愛ランド(どんなところなのかは知らないが)、パラグライダー場やアマチュア無線基地にもつながっている。
誰も走っていない道をうねうねと走り(途中出会った車は2台)、下って行くと右手に一本の林道がある。
この林道(五輪原農道)は木原造林という会社が管理しているらしく、看板には『関係者以外立入り禁止』と書かれており、入口にはゲートがある。
しかしゲートは開いていたので構わず車を乗り入れた。
が、1kmも行かないうちにまた別のゲートがある。
こちらは『五輪原高原大根生産組合』が管理しているらしく、完全に閉鎖されている。

           ゲート
仕方なく、ゲートの前に車を置いて徒歩で進んで行った。(車が入れないだけで人が入れないわけではない。)
周囲は見渡す限りすべて植林されたスギである。
目当ての樹はどこにあるのやら…

略図と「林道から1.3km」という情報だけを頼りに歩いて行ったが、それらしき樹は見つからない。
これはもしかして大きな勘違いをしているのではないか…?
略図が間違っているのではないか…?
不安になってきたとき、右手に作業小屋が見えた。
この少し先のはずだが…辺りの景色に変化は無く、相変わらずのスギ、スギ、スギ…
足も疲れてきたし引き返そうか…いや待て、もう少しだけ…
と、自分を鼓舞しながら進んで行ったその時!!
左手前方のスギ林の中に、少し異質な白い枝がちらっと見えた。
お、あれか…!?

急に元気が湧き歩を進めると、果たして道から10mほど奥の林の中に古色蒼然とした樹が垣間見えた。
樹下に続く道は無いので足元の良さそうなところを選んで林間に入る。
第2のゲートから1000歩弱、これが「五輪原のイタヤカエデ」である。

樹下には説明板が立っており、それによると、葉がよく繁り板で屋根を葺いたように雨が漏れることがないから「板屋カエデ」という名がついた、とのことである。
しかし今や主幹は朽ち果て、板屋をなした枝はほとんど無くなってしまっており、見る影もない。
根元には大山祗命が祀ってあり、まるで深山に棲む仙人のような樹である。
それでも1本の若枝からは新芽が芽吹いていた。
なんとか生き延びてほしいものである。

                イタヤカエデ
地図はこちらへ


一番上へ