少し間が空いたが、訪問したのは本蓮寺の帰り道である。
県道岡山牛窓線で瀬戸内市に入ってすぐ大きな山門が道沿いにある。
これが知る人ぞ知る荒れ寺「弘法寺」の仁王門である。
ここから山へ入ると遍明院というお寺があり、それなりに賑わっているが、これは弘法寺の子院である。
さらに山に向かって荒れた石段があり、案内も何もないため、知らなければこの石段を上がろうとは思わないだろう。
ここを上がると、やがてお堂が見えてくる。
弘法寺は空海が開山したといい、昔はかなりの大寺だったようだ。
しかし、昭和42年の火災で本堂や多宝塔などの主要な伽藍が灰燼に帰し、今まともに残っているのは阿弥陀堂だけである。(写真)
この阿弥陀堂は大仏殿で、中にはちゃんと大仏がおわして、2層の部分の小窓を開けば大仏の顔が覗くという仕掛けになっている。
(窓は閉まっているから確認はできない。ただし、大仏は1階の外から見ることができる。)
今はほとんど訪れる人もなさそうで、隣の何かわからないお堂は火災の跡も未だ生々しいまま朽ちかけている。
何でこのように荒れ果てたままになっているのだろう。
ここに大仏がおわすことを知っている人はあまりいないと思う。
御仏だから何もおっしゃらないが、人間なら文句のひとつも言いたくなるというものだ。
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