12月26日、家族で湯郷温泉に泊まり、その後美作市の長福寺へ。
この長福寺はもともと真木山の山頂にあり、奈良時代に鑑真が開基したと伝えられる。
鎌倉時代から江戸時代初期にかけては、山上に僧坊が建ち並んで隆盛をきわめたが、江戸時代以後しだいに衰微し、昭和3年には、山上からふもとの現在地に移転した。
三重塔はその後も山上に残されていて、昭和26年に現在地に解体移築された。
この三重塔は棟札が残っていて、それによれば鎌倉時代の1285年の建築で、県内の木造建築としては最も古い物である。(写真1)(写真2)
この塔は三重塔としては全国的に見ても屈指の美しさだと思う。
大き目の逓減率、深い軒の出、屋根の反り、こけら葺き、相輪の高さ等が程よく調和がとれていて、全体的に軽やかでたいへん優美な感じがする。
この塔は、時代的にも意匠的にも国宝級の建物と思うけれど、元の場所から移転されていることと、その時も含めて建築当初からかなり改修されていることが多分理由で指定は国の重文にとどまっている。
この美しい塔は、ぜひ国宝に指定してもらいたいものである。
他には鐘楼門(写真3)と、まったく本堂らしくなく客殿のようなつくりの本堂(写真4)が在るが、奈良時代からの歴史を持つ、かつての大寺を思えばちょっと淋しい現状である。
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