児島八十八か所巡礼 第11番 円通庵
玉野市
常泉寺の次に円通庵を訪れる。
ここは平安時代に開基したと言われる金甲山円通寺という寺があった。
金甲山はテレビ塔が立っていて岡山市民には馴染みの深い山だが、この金甲山という名の由来にはひとつの伝説があるので紹介しよう。
桓武天皇の時代、由加山に阿黒羅王という鬼が住み悪事の限りを尽くしたため、住民は都に鬼征伐を願い出た。
桓武天皇は有名な坂上田村麻呂を派遣した。
田村麻呂は由加の鬼退治に向かうに当たって、児島の最高峰で霊峰と言われた神の峰の麓にあったこの円通寺の竜王様に金の甲を奉納して戦勝を祈願し、由加山の鬼を退治することができた。
このことから神の峰が金甲山と言う名になったと言われている。
坂上田村麻呂は数々の伝説の持ち主であるが、その多くは征夷大将軍として活躍した東北地方を中心に伝えられており、この地方の伝説はかなり珍しいと言えよう。
円通寺は池田光政の寺院淘汰により廃寺となったが、寺の跡に本尊の十一面観音を祀る観音堂を建てたのが円通庵である。
児島88か所霊場が開かれたときに、この円通庵は本尊の十一面観音に因んで第11番霊場になったと言われている。
この札所は集落の中にあって駐車場はなく、道も狭いので少し離れた所に車を停めて歩いて訪問する。
外から見ればちょうどこの庵の後ろに金甲山が見えた。(写真1)
現在の建物は大正時代に建てられたと言う。(写真2)
境内の跡には公民館や老人憩いの家もあり、ちょっとした公園のような広場もある。(写真3)
石標は入り口の横に立っていて、後ろの建物は老人憩いの家。(写真4)

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