児島八十八か所巡礼 第35番 般若院
倉敷市
7月31日、この日は児島半島の西側一帯の札所を廻る。
水島工業地帯に隣接している地域で、景観は大きく変わってきているが、札所あたりは昔の風情を残すところも多い。
まずは、般若院から。
奈良時代以前の697年に行基の開基と伝えられる古刹で、鎮守として勧請した本荘八幡宮の神宮寺であったため、寺号を神宮寺と言う。
元は通生の港近くの本荘八幡宮の傍の通仙園のあたりにあったものが、幾たびかの盛衰の後、安土桃山時代に現在の場所に復興され、真言宗御室派の中本寺として児島一円に十数か寺の末寺を有していた。
山門は風格のある重厚な四脚門で(写真1)、客殿と本堂は江戸時代のものと言われる。
本堂は入母屋造りの妻入り(入母屋破風のある方が正面)で、稀と言うほどではないが、ちょっと珍しい。(写真2)
ところが、後ろ側を見ると寄棟となっており、片側入母屋、片側寄棟の建物は非常に珍しい、他に例を見ないものであろう。(写真3)
嘉永4年の年号が刻まれている石標は石段下にあり、人の背丈ほどもあって彫りも深く堂々としている。(写真4)
この寺には樹齢500年に及ぶ大椿があると聞いて、花の咲く時期に再訪したが、残念なことに数年前に枯死したとのことである。

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