児島八十八か所巡礼 第56番 清水寺
岡山市
10月16日、前回に続いて旧灘崎町の札所を訪問する。
このあたりの札所は池田光政の寺院整理によって廃寺になった寺が多い。
ここも限王寺という近くにあった寺が廃寺となり、小さなお堂になったようで、「児島八十八ヶ所道案内」には大師堂と記されている。
その後二十日庵と呼ばれていたようだが、昭和21年にさらに清水寺と改称され、これは「きよみずでら」ではなく「しみずじ」と読むようである。
古い写真を見ると民家風の建物があったようだが、最近新しいお堂に建て替えられた。(写真1)
お堂を建てるとなれば相応の費用が必要で、山陽新聞社発行の「児島霊場を訪ねて」によれば、川張地区およそ110戸の人たちの善意による寄進だそうだ。
児島霊場の札所は経済的な基盤の全くない小さなお堂も多く、地域の人々の努力によって維持されている。
さて、入り口付近は昔の井戸などが残っていて風情を感じる。(写真2)
境内はちょうど秋明菊が見ごろであった。(写真3)
秋明菊は菊と付くがキク科ではなく、アネモネと同じキンポウゲ科で、中国原産だけれど古くから栽培されていて、清楚な感じが里の秋の景色にはよく似合う。
石標は、昭和21年の年号と清水寺の名が入ったものが入り口に立っているが、その奥に古い石標も残っているので、こちらを紹介しておこう。(写真4)
札所番号だけのもので、年号は風化していてほとんど読めず、かすかに嘉永と刻まれているようにも見える。

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