児島八十八か所巡礼 第80番 慈性庵
岡山市
ここは低い丘の南側の麓にあり、観音堂と書かれた大きな石標が目印となる。
現在は慈性庵という名であるが、元々はこの石標のとおり観音堂と呼ばれていた。
今の児島八十八か所では寺ではないお堂については庵の名が付いており、これは明治以降に付けられたものも多い。
札所が開かれた当時は、「児島八十八ケ所道案内」によれば大師堂という名が11か所、観音堂が7か所、薬師堂が2か所ある。
こういう普通名詞では区別ができないため、前に地名を付けて呼ぶのだが、それよりは庵の付く固有名詞の方がわかりやすくて情緒がある。
さて、札所は立派な石垣の上にある。(写真1)
石垣はそれほど古いものには見えないが、場所によって積み方が異なるので、後から補修されているのであろうか。
本堂は入母屋造り妻入りの小さなお堂で、やや傷みが目に付く。(写真2)
石垣に沿って古い土塀と休憩所があり、こちらはさらに傷みが激しい。
最近訪問してみると、土塀と石垣は撤去されていて、ブロック塀になっていた。
手が入れられるのは好ましいし、安全のため必要とは思うが、ブロック塀は残念である。
石標は観音堂と書かれた大きなもので元治元年の年号が刻まれている。(写真3)
再訪したときは桜がきれいに咲いていた。(写真4)

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