川上町
巨木探訪:川上町
6月27日、前日からの雨は上がっているが曇り空。
おまけに湿度が高く、外に出るだけでじっとりと汗ばむ。
不快指数120%であるが、雨が降っていない以上、出かけなければならない。
西に向かうか、北に向かうか…気分が西に向いたので芳井町方面を探訪することにした。

芳井町に至るには、高梁市から国313を下って川上町を抜けるルートか、国486で井原市を抜けて国313を上るルートのどちらかを選ばねばならない。
そして芳井町の巨木の分布はけっこう広い範囲に渡っており、これを一度で済ませるのは無理である。
どちらにしても再訪せねばならないのならば、今回は未探訪の川上町とペアにして樹行したほうが良さそうだ。
ということで、まずはいつもの県72→国484で高梁市に向かった。

国484から国180に出て南下し、落合橋を渡る。
国313を進み、成羽町成羽のローソンで昼食を購入。
さらに西進し川上町に入る。
ここで右折すれば以前探訪した備中町方面であるが、今回はそのまま南下。
4km弱で領家川にかかる領家橋を渡るのだが、橋の上から左手前方の民家の屋根の向こうに見える巨木が「朝日のエノキ」(別名:領家のエノキ)である。
橋を渡って左折し100mちょい先を右折。
道の辻が広くなっているところに車を停めて樹に近づく。
樹下は広い空地になっており、祠が祀られている。
このエノキは現存するエノキの中では県下最大の幹周であるのだが、幹が楕円形をしているためか、正面から見るとそれほどの感じは受けない。
樹齢は400年ということであるが、樹勢はすこぶる良さそうである。
隣にあるムクノキも3m近い樹で、この一画だけが杜のように見える。

                エノキ
地図はこちらへ

国313に戻り1kmほど進んだところで県77に右折。
約4.5kmで左手に『松岳寺』の案内板があるので左折。
そのまま進んで行くと2kmほどで県473に突き当たるので右折。
くねくねと曲がった道を1kmほど進むと左手に榊山八幡神社がある。
神社への細い道は車で侵入可能。
ここにはアラカシの巨木があるはずなのだが、それらしき樹は無かった。
境内に3ヶ所見つかった切株のどれかが該当する樹だったのだろうか…

県473を進行方向に進んで行くと再び県77に出る。
そこから3km弱西進した右手に雲海で有名な弥高山がある。
『弥高山0.2km→』という標識があったので、それくらいの距離なら、と、ちょっと寄ってみた。
土産屋兼管理棟とロッジがあったが、特に見るほどの物は無し。
山の頂上まで登るほどの時間はないので、すぐにUターンし先に向かう。
1.5kmちょい進むと右手道路脇に『穴門山神社』の案内板があるので右折。
細い道を進んで行くと大きな鳥居。
神社までの距離を考えると、ずいぶんと遠い位置に建てたものだ…。
少し先の左手には須佐男神社があり、地図上ではその先で道は二又になっているが、右手の道は車の進入できない山道。
おそらく昔からある徒歩用の参道なのであろう。(地図上ではこちらの方が近道である。)
仕方がないので左手の舗装された道を進む。
登って行くのかと思いきや、道はどんどん下って行く。
途中には『落石注意』の看板があり、なるほどちょっとヤバそうな道である。
実際に途中で一箇所軽い崩落と倒木があり、完全に道を塞いでいるわけではないので、軽四でも通れるだろう、えいやっ、と乗り越えた。
乗り越えてからあらためて倒木を取り除いておいたが…。

それにしても本当にこの道が神社に続いているのか?しかし道はこれしか無い、いやいや、行き止まりになったらどうするのだ?
などなど不安に駆られながらも下って行く。
しばらく下ると渓流が流れ、少し広い場所に出た。
はて、ここは?
一旦車を停めて降りてみる。
そこから先はまた細い道になっているようであるが、なんと30mほど前方に1台の車が停まっている。
こんな人気の無い山中に停まっている車、なんだか怪しい人ではないか…と一瞬訝ったが、よく見ると車の停まっている左手に石垣らしきものが見える。
するとここが穴門山神社、そしてこの広い場所は駐車場といったところであろう。
安堵して車を停め直し、再度降りてみると先ほどの車はもう姿を消していた。
あらためて神社に向かう。
周辺は渓流の水気もあって、気温は高くないが湿度は相当高い。

穴門山神社は式内社で、創立は崇神天皇54年といわれている大変由緒のある神社である。
本殿は神門から約20m上にあり、この崖はすべて石を組み上げて作られている。
神門から石段を登って行くと、右手の斜面にカツラの巨木が立っている。
これが御神木の「穴門山神社」のカツラである。
仲哀天皇2年の三韓征伐の際に、戦勝を祈願して手植えられたとのことで、樹齢は700年。
葉も青々としており、樹勢の衰えは感じられない。
急斜面のため傍らまで近づけないので、石段の位置からのみ写真を撮る。

                カツラ
地図はこちらへ

本殿まで登って辺りを見回すと、年代を感じさせる立派な樹が多い。
ちなみにここの社叢は県指定天然記念物である。
ところで、ここには御神木に匹敵するほどのカツラがもう1本あるという。
それはどこにあるのか、と石段を下りながら探したが、それらしき樹は見当たらない。
あきらめて神門まで下って車に向かって歩いていると、左手の渓流の向こうにある巨木に気が付いた。
その姿は間違うことなくカツラ!
こちらは間近で見ることができる。
もしかすると御神木よりも大きいのではないか…?
渓流傍の斜面にどっしりと根を下ろしている姿は重厚で、湿気に包まれて濡れた樹肌を見ていると夢幻の世界に居るような気分になる。
もう少し眺めていたかったが、次へ行かねばならない。
後ろ髪を引かれる思いで神社を後にする。
(帰宅してから調べたら、もう1本は石段左手の斜面にあるカツラであった。このカツラには気付いていたのだが御神木ほど大きくはなかった。ということは渓流側のカツラは新発見である。)

                カツラ
地図はこちらへ


                    芳井町(1) へ続く

一番上へ