巨木探訪:哲多町(2)
県内の探訪地も残り少なくなってきた。
本日は残った地域のうち、哲多町に行くことにした。
同時にちょっとだけ哲西町に寄り道。
日記としては昨年9月の続きということになる。
12時半に出発し、県72→吉備中央町→国484→高梁市といういつものルートを走る。
そういえばこのルートも久しぶりだなぁ。
高梁市からは国180を北上。
新見市長屋地区でコンビニに寄って昼食。
さらに北上して正田地区で左折して県33に入れば、すぐに旧哲多町である。
哲多町宮河内で県441に右折。
1.5kmほど進んだ小村谷集落で『宮河内』のバス停の左手あたりにある「大森のアラカシ」
が本日最初の探訪である。
道路脇に車を停めて略図を片手に降りてみたものの、さっぱり見当がつかない。
と、そこにおじさんが通りかかった。
うろうろしていても不審者がられるだけ、ここは腹を決めて尋ねてみよう。
「すみません、ちょっとお尋ねしたいのですが、この辺に大森のアラカシという大きな樹があるのを知りませんか?」
「あぁ、私はここの地元の人じゃないけんなぁ…地主さんに聞いてみたらええわ。」
と、いちばん手前の家に近づくと、その家の当主が庭に出ていた。
やりとりの声を耳にしていたらしく
「何の用ですかな?」
「いや、大きな樹を見て回っているんですが、大森のアラカシいう巨木がこの辺にあるということなので…」
と、手にしていた資料を見せた。
すると…地主のおじさん(60才くらいか?)、しばし資料のコピーを見て途端に不機嫌になる。
「こりゃあ、誰が書いたんでぇ。ええ加減なことを書かれたら困る。」
「???…」
「この樹はなぁ、あそこの樹じゃろう。あれはうちの樹じゃ。」
と、樹を指差す当主。
「???…」
「山本いうのはここの上の家じゃ。大森いうのは山本の屋号じゃからのう。けど、あの樹がある所はワシの親父の代からの土地じゃけんな。」
「あの、これは山陽新聞社が出した本のコピーで…」
ここで資料を引用しておこう。
【大森のアラカシ】
『本樹は山本邸横の竹林の中にある巨木である。樹勢は旺盛で、幹は地上5メートルのところから十数本に分岐し、枝張りは良い。根元には御崎社の小祠を祀ってある。』
(そして、帰ってから別の資料を見ると、所有者は『山本○○』になっていた。)
「一時、あそこの土地を売れぇとか、いろいろあったんじゃ。」
そんなこと、私は知らない。
もしかして、私も地上げ屋の一味と思われているのか!?
急いで否定する。
「いや、私はただ巨木を見に来ただけで…^_^;」
「うちは大森じゃのうて屋号はおおやじゃけどな。」
(おおや=大家?大屋?大谷?)
ま、要するにこの御当主、そもそも山本家と土地に関してゴタゴタがあったのであろう。
そこに境界が揉めているアラカシを見たいという人が現れた。
手にしているコピーを見ると「大森のアラカシ」と明記してある。
何じゃ、こりゃー!!親父から継いだ土地が山本家の所有になっとるじゃねーか!!
と、いうところだったのだろうな。
ま、でも、誤解は解けたようである。
樹にたどり着く道を聞くと丁寧に教えてくれた。
「そこを歩いて行ってもええけどな、そこの左の道をぐるっと回って行ったらええわ。新行いう部落を抜けて山の中に入ったら工事中の平地があって、それもワシの親父がやらしたんじゃけどな。そこから先に行ったら樹に下りれる。」
言われた通りに道を辿る。
しかし、どこまで進んだらいいのかわからない。
そうこうしながらぐるっと回って行くと、山本邸らしい家が見えた。
右手を見ると藪の中にアラカシが見えるし、何となく樹下まで辿り着けそうである。
ふむふむ、この辺りか。
道路際に車を停めて道らしき所を下りて行く。
最後は藪の中であったが、何とか樹下まで辿り着くことができた。
眼前にしたアラカシは幹周6.0mで県下第1位、というだけあって、確かにすごい。
根元から3つに分かれている幹は力強く、一部には癒着も見られる。
藪の中なので良い写真が撮れないのが残念である。
これだけの立派な樹、所有者の名誉のためにも『おおやのアラカシ』と訂正してもらいたいものである。
車に乗り込み、来た道を戻る。
途中の辻で道を間違え、出たところは先ほどのバス停よりも1kmほど東であった。
県441を再び西に向かう。
3.5kmくらい進むと左手に『健康の森』の看板があり、ここで道は二手に分かれているので左折。
さらに2kmほど進んだ右手の家に「地家大成のアベマキ」という巨木がある。
ところが該当する地番の家の前まで来てみたものの、樹は見当たらない。
これはハズレか…ま、とりあえず近隣を探索せねば、と、県道沿いの民家の正面から南に直角に延びる道に車を進めて路肩に駐車。
降りて振り向いたとたん、民家の裏山に聳えている樹が目に入った。
ドッキリ!!
虚を衝かれた。
あまりの予想外の光景に、しばし絶句…。
それにしてもこの光景の見事さはどうだ!?
田舎の屋敷、刈り込まれた裏山、そして空を背景にすっくと立つ2本の巨木。
まるで一枚の絵を見ているようである。
樹下に辿り着くには、どう見ても民家の横を抜けなければならない。
勝手に入って行ってもいいものかどうか…と思っていると、うまい具合に奥さんらしき人が犬の散歩に出て来たので、これ幸いと声をかけてみた。
「すみませーん。あの大きい樹の下まで行きたいのですが、通ってもいい道がありますか?」
すると奥さん、そこの道を上がって桜の後ろを通ったらいい、と教えてくれた。
やれ、嬉しや。
嬉々として樹下に足を運び、見上げる。
立派である、それしか表現のしようがない。
アベマキは幹周4.3m、樹高27mで、樹下には小さな祠が祀られている。
『地家大成』というのは、この民家の屋号であるとのこと。
右手にあるアベマキは幹周目測3mくらいで、こちらも立派な姿である。
本日は残った地域のうち、哲多町に行くことにした。
同時にちょっとだけ哲西町に寄り道。
日記としては昨年9月の続きということになる。
12時半に出発し、県72→吉備中央町→国484→高梁市といういつものルートを走る。
そういえばこのルートも久しぶりだなぁ。
高梁市からは国180を北上。
新見市長屋地区でコンビニに寄って昼食。
さらに北上して正田地区で左折して県33に入れば、すぐに旧哲多町である。
哲多町宮河内で県441に右折。
1.5kmほど進んだ小村谷集落で『宮河内』のバス停の左手あたりにある「大森のアラカシ」
が本日最初の探訪である。
道路脇に車を停めて略図を片手に降りてみたものの、さっぱり見当がつかない。
と、そこにおじさんが通りかかった。
うろうろしていても不審者がられるだけ、ここは腹を決めて尋ねてみよう。
「すみません、ちょっとお尋ねしたいのですが、この辺に大森のアラカシという大きな樹があるのを知りませんか?」
「あぁ、私はここの地元の人じゃないけんなぁ…地主さんに聞いてみたらええわ。」
と、いちばん手前の家に近づくと、その家の当主が庭に出ていた。
やりとりの声を耳にしていたらしく
「何の用ですかな?」
「いや、大きな樹を見て回っているんですが、大森のアラカシいう巨木がこの辺にあるということなので…」
と、手にしていた資料を見せた。
すると…地主のおじさん(60才くらいか?)、しばし資料のコピーを見て途端に不機嫌になる。
「こりゃあ、誰が書いたんでぇ。ええ加減なことを書かれたら困る。」
「???…」
「この樹はなぁ、あそこの樹じゃろう。あれはうちの樹じゃ。」
と、樹を指差す当主。
「???…」
「山本いうのはここの上の家じゃ。大森いうのは山本の屋号じゃからのう。けど、あの樹がある所はワシの親父の代からの土地じゃけんな。」
「あの、これは山陽新聞社が出した本のコピーで…」
ここで資料を引用しておこう。
【大森のアラカシ】
『本樹は山本邸横の竹林の中にある巨木である。樹勢は旺盛で、幹は地上5メートルのところから十数本に分岐し、枝張りは良い。根元には御崎社の小祠を祀ってある。』
(そして、帰ってから別の資料を見ると、所有者は『山本○○』になっていた。)
「一時、あそこの土地を売れぇとか、いろいろあったんじゃ。」
そんなこと、私は知らない。
もしかして、私も地上げ屋の一味と思われているのか!?
急いで否定する。
「いや、私はただ巨木を見に来ただけで…^_^;」
「うちは大森じゃのうて屋号はおおやじゃけどな。」
(おおや=大家?大屋?大谷?)
ま、要するにこの御当主、そもそも山本家と土地に関してゴタゴタがあったのであろう。
そこに境界が揉めているアラカシを見たいという人が現れた。
手にしているコピーを見ると「大森のアラカシ」と明記してある。
何じゃ、こりゃー!!親父から継いだ土地が山本家の所有になっとるじゃねーか!!
と、いうところだったのだろうな。
ま、でも、誤解は解けたようである。
樹にたどり着く道を聞くと丁寧に教えてくれた。
「そこを歩いて行ってもええけどな、そこの左の道をぐるっと回って行ったらええわ。新行いう部落を抜けて山の中に入ったら工事中の平地があって、それもワシの親父がやらしたんじゃけどな。そこから先に行ったら樹に下りれる。」
言われた通りに道を辿る。
しかし、どこまで進んだらいいのかわからない。
そうこうしながらぐるっと回って行くと、山本邸らしい家が見えた。
右手を見ると藪の中にアラカシが見えるし、何となく樹下まで辿り着けそうである。
ふむふむ、この辺りか。
道路際に車を停めて道らしき所を下りて行く。
最後は藪の中であったが、何とか樹下まで辿り着くことができた。
眼前にしたアラカシは幹周6.0mで県下第1位、というだけあって、確かにすごい。
根元から3つに分かれている幹は力強く、一部には癒着も見られる。
藪の中なので良い写真が撮れないのが残念である。
これだけの立派な樹、所有者の名誉のためにも『おおやのアラカシ』と訂正してもらいたいものである。
車に乗り込み、来た道を戻る。
途中の辻で道を間違え、出たところは先ほどのバス停よりも1kmほど東であった。
県441を再び西に向かう。
3.5kmくらい進むと左手に『健康の森』の看板があり、ここで道は二手に分かれているので左折。
さらに2kmほど進んだ右手の家に「地家大成のアベマキ」という巨木がある。
ところが該当する地番の家の前まで来てみたものの、樹は見当たらない。
これはハズレか…ま、とりあえず近隣を探索せねば、と、県道沿いの民家の正面から南に直角に延びる道に車を進めて路肩に駐車。
降りて振り向いたとたん、民家の裏山に聳えている樹が目に入った。
ドッキリ!!
虚を衝かれた。
あまりの予想外の光景に、しばし絶句…。
それにしてもこの光景の見事さはどうだ!?
田舎の屋敷、刈り込まれた裏山、そして空を背景にすっくと立つ2本の巨木。
まるで一枚の絵を見ているようである。
樹下に辿り着くには、どう見ても民家の横を抜けなければならない。
勝手に入って行ってもいいものかどうか…と思っていると、うまい具合に奥さんらしき人が犬の散歩に出て来たので、これ幸いと声をかけてみた。
「すみませーん。あの大きい樹の下まで行きたいのですが、通ってもいい道がありますか?」
すると奥さん、そこの道を上がって桜の後ろを通ったらいい、と教えてくれた。
やれ、嬉しや。
嬉々として樹下に足を運び、見上げる。
立派である、それしか表現のしようがない。
アベマキは幹周4.3m、樹高27mで、樹下には小さな祠が祀られている。
『地家大成』というのは、この民家の屋号であるとのこと。
右手にあるアベマキは幹周目測3mくらいで、こちらも立派な姿である。